2016年 08月 16日
ミカ・ゼンコ『レッドチーム思考 組織の中に「最後の反対者」を飼う』(文藝春秋、2016年)は、米軍におけるインテリジェンス手法が実際の事例とあわせて紹介されていて面白い。情報組織では分析担当の評価の妥当性をバイアスや組織のしがらみで客観的に検証できない。このため、意思決定に関与できる外部的な分析チームで別の可能性を指摘できる仕組みを作るべしということである。 ちなみに、このサイトには各種の関連文献が掲載されており、また、下記のように、インターネットで見ることのできる米軍の教範にもレッドチーム(またはレッドセル)の手法などが記載されているので、実務者はこれらを確認したうえで、実践した方がよいだろう。 The applied critical thinking handbook(Formaly the RED Team Handbook,UFMCS,JAN 2015.(抜粋) ➣三つの役割
・作戦の計画実施、意思決定の支援 ・既存の計画における分析の批判的検証 ・インテリジェンス支援(脅威評価) ➣プランニングにおけるレッドチーム ・プランニングの各フェーズに参加 ・レッドチームはスタッフミーティングや全体会議ではブリーフィングを避ける。 ・レッドチームは別の仮説、ギャップと弱点、我の行動方針への脅威を特定する。 ➣計画・実施段階における継続的な確認事項(キークエスチョン) ・~したらどうなるだろうか ※What if?Analysis参照 ・~の目的は何だろうか ・次に何が起こるのだろうか ・我々は何を評価すべきなのか NAVY PLANNING NWP 5-01 ,DECEMBER 2013 (抜粋) ➣レッドセルと情報部の間の分析の違いは、認識され、解決されなければならない。効果的に行うには、プランニングの過程を通じてレッドセルと計画チームはインフォメーションと分析結果を継続的に交換する必要がある。レッドセルは独自の分析を実施したならば、情報部に敵に対する認識として通知しなければならない(pp.4-4-4-5) ➣レッドセルは敵のように思考しなければならず、MLCOA(最も可能性のある敵の行動)とMDCOA(最も危険な敵の行動)をリアリスティックに評価しなければならない。また、レッドセルは敵の立場で勝つために戦わなければならず、非対称戦のアプローチを考慮しなければならない。そして、その行動や反応は個々の敵の既存の能力に基づいたものでなければならず、味方部隊の採り得る対応によって再検討されなければならない。レッドセルは我に対する敵の反応に関する見積り関してだけ責任を負うのだけでなく、我の行動の効果や敵の損失の程度を評価することにも責任を負う(p.Q‐1‐1)
by Imperialnavy
| 2016-08-16 10:05
| 作戦・戦術インテリジェンス
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