戦略とインテリジェンス

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2014年 02月 10日

中国の戦略文化(孫子だけではない)

浅野亮「中国の戦略・安全保障文化」『国際政治 第167号』日本国際政治学会、2012年。

30頁「孫子だけが中国の軍事戦略の古典ではない。(中略)孫子だけを見るわけにはいかないが、孫子に触れずに中国の戦略・安全保障文化とその諸研究をすることはできない。」
35頁「人民解放軍の標準教科書シリーズともいえる《国防大学叢書》を見ると『軍事戦略導論』、つまり軍事戦略の解説の入り口では、(中略)中国古代の戦略が、当時の政治、社会、経済や技術上の条件のもとでのものである点を強調しており、単純に孫子を崇拝しているわけではない。」「《国防大学叢書》のもっと具体的な内容の『軍事戦略論』では、戦略の総合的性格が強調されているが、孫子の兵法など伝統的軍事思想への言及はほとんどないといってよい。」

以前、ルトワックの『自滅する中国』の内容を引用して、中国が孫子の教えに基づいた行動パターンをとっている可能生があることを述べました。しかしながら、上記の引用内容を見れば、そうした見方は分析を誤らせる危険な認知バイアスにもなりうると言えそうです(いわゆる利用可能性バイアス?)。確かに「孫子」は上記にあるように、中国の戦略文化を形成する重要なテキストであり、中国の行動を単純に説明するのに便利な内容を含んでいます。ただ、はやり「孫子だけをみるわけにはいかない」のであり、中国の行動パターンを理解するには、他の古典や上記に紹介されているような現代のテキストなどを網羅的に分析する必要があるということでしょう。















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by Imperialnavy | 2014-02-10 23:21 | 戦略インテリジェンス | Comments(0)


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