戦略とインテリジェンス

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2013年 12月 04日

ニミッツ提督の情報要求

エドウィン・T・レートン『太平洋戦争暗号作戦 アメリカ太平洋艦隊情報参謀の証言 下』TBSブリタニカ、1987年。

157頁「「私はきみに南雲になってもらいたい」とニミッツは私(レイトン情報参謀)に言った。「南雲提督ならどう考え、どのような直感をもつかきみに教えてもらいたい。日本軍の立場で戦争を見つめ、作戦を見つめ、目的を考えて、彼ら、つまりきみが何を考えているか、何をしようとしているか、どんな目的、どんな動機でいかなる作戦をおこなうかを私にアドバイスするんだ。これがやれれば、この戦争に勝つために必要な情報を私は得ることができる。」」

ミッドウェー海戦におけるアメリカ海軍の情報優勢の背景には、こうしたニミッツの的確な情報要求があったのだと思います。
つまりリーダー自ら、インテリジェンスに関心を持ち、このように的確に要求事項を示せば、インテリジェンスが上手く機能するということです。

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# by Imperialnavy | 2013-12-04 19:52 | リーダーとインテリジェンス | Comments(0)
2013年 12月 03日

なぜインテリジェンスは失敗するのか

Robert Jervis,Why Intelligence Fails Lessons from the Iranian Revolution and the Iraq War, (Cornell University Press, 2010).pp.2-3.

◆インテリジェンスの失敗についての最も明白な意味は、見積り(Estimate)とその後に明らかになった情報(Information)とのミスマッチである。
◆インテリジェンスの失敗を判断する点は分析官が手元の情報を上手く活用したかどうかである。
◆悪い結果は悪いプロセスによって説明される。答えが間違っていたという事実は思考の手順や方法に欠陥があったということである。
◆多くのケースでは、証拠と推論の間の薄弱な理解と安全な結論の叙述がみられる。
◆より注意を払い、訓練し、明確な推論を行えば、自動的に正解に達するというわけではないが、そうすることで、より良い分析を生み、争点のカギを明らかにする仕事の質を高め、正解につながるチャンスを増やす。

結局のところ、失敗を防ぐ万能薬は無いということであり、きちんと方法論に従って客観的に分析を行っていくしか解決策はないということです。従って、やはり大事なことはオーソライズされた分析手法による訓練ということになるのでしょう。
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# by Imperialnavy | 2013-12-03 19:09 | インテリジェンスの失敗 | Comments(0)
2013年 12月 02日

極意としての「自由」

赤羽根龍夫、赤羽根大介『武蔵と柳生新陰流』集英社、2012年、182~183頁。

「武蔵にとって兵法極意とは全身[惣体]が鍛錬によって「やわらか」「自由」になることでした。「やわらか」とは手も足も心のままにほどけた状態、つまり自由になることです。(中略)柳生新陰流においても極意は自由であり、この場合の自由は「手足身に所作はありて心になく、習いを離れて習いに従わず、何事もするわざ自由なり」とあるように、手足身の所作から生み出された技の自由なのです。以上のように武蔵も柳生も極意は自由であると言っています。」

インテリジェンスの分析においても、自己の知識や方法論に縛られすぎない自由なマインドが必要ですね。そのためには、知的な「鍛錬」によって自己の頭脳を「やわらか」にする必要があるということでしょうか。
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# by Imperialnavy | 2013-12-02 17:08 | その他 | Comments(0)
2013年 12月 01日

韓国のインテリジェンス文化

崔源起、鄭昌鉉『朝鮮半島のいちばん長い日』東洋経済新報社、2002年

269頁
「2000年を機に北朝鮮の軍事力は上向きになった」とのCIAの説明に対し、林国家情報院長は、「北朝鮮は最近、再び重点を経済分野に向けている。全体的には軍事力は弱まった状況で、一時的に軍事力増強は大きな意味がない。北朝鮮にとって変化とは選択の問題ではなく、当然すべき問題だ。北朝鮮は変化せざるを得ず、すでに変化している。」

169頁
「韓国の組織特性上、上層部が特定情報と資料を好む場合、下級組織はそのトップが好むようなスタイルに情報を加工・処理してから報告する傾向がある。特に林東源は「非太陽政策」については全く振り向かない性格であることで有名だった。」

韓国のインテリジェンス文化が窺い知れる一節です。情報の政治化はどこの国でもあるものでしょうが、情報と政治が密接にリンクしている韓国の情報機関はとりわけその傾向が強そうですね。このことは、韓国の対外政策が自己中心的なインテリジェンスに基づいて行われている可能性を示唆するものだと思います。

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# by Imperialnavy | 2013-12-01 22:06 | その他 | Comments(0)
2013年 12月 01日

東日本大震災

木村英昭『官邸の100時間 検証 福島原発事故』岩波書店、2012年。
38ー42頁
「危機管理センターの中二階が原発事故の情報収集と判断をする拠点となった。しかし電話が2本しかなく、ファックスもなく、携帯も圏外だった。東電本店から情報が即座に入らず、テレビから原発事故の情報を得るしかなかった。」「午後9時、班目委員長が官邸に来たが、肝心の原発の図面が無く、情報は何も入ってこなかった。」「班目委員長にとって情報はテレビと記憶だけだった。班目「保安院の事務局はどんどん情報の伝令をとばすべきだったがまったくこなかった。あの時保安院は消えてた。」」
130頁
「12日午後に1号機で起きた水素爆発について、菅が手に入れることができた確実な情報は日本テレビで午後4時49分から放送された福島中央テレビの撮影映像だけだった。」

当時の意思決定に情報という要素が決定的に欠けていたことが窺える内容です。
そもそもインフォメーションが無ければインテリジェンスどころか状況把握すら出来ないので、いざという時に備え、無駄とも言えるぐらいのインフォメーション収集の態勢を整えることが必要ということなんでしょうね。
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# by Imperialnavy | 2013-12-01 00:35 | インテリジェンスの失敗 | Comments(0)