戦略とインテリジェンス

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2013年 12月 26日

革新的軍事技術

Shawn Brimley, Ben FitzGerald and Kelley Sayler
“Game Changers: Disruptive Technology and U.S. Defense Strategy” 
http://www.cnas.org/game-changers#.UrqXR9yCj4g

◆革新的軍事技術に必要な4要素(pp.11~13)
①調和(ハードとソフトの組み合わせ。例:ドイツ電撃作戦)
②視点
③背景(倫理、社会的価値観に反する技術は受容されない。)
④時間(技術は成熟するまで時間がかかる。)

◆革新的軍事技術が生まれそうな5つの分野(pp.14~18.)
①加法的製造(3Dプリンター)
②自律システム(無人機)
③指向性エネルギー兵器(電磁パルス、レーザー、ミリ波等)
④サイバー
⑤人間のパフォーマンス改造

相手の能力がこうした観点から将来どのように変化するのかといったことを分析することが必要なのかもしれないですね。その際、我が国ではとても社会的に許容されないような技術を採用する可能性を考慮し、ミラーイメージングに陥らないことが大切だと思います。
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by Imperialnavy | 2013-12-26 18:59 | その他 | Comments(0)
2013年 12月 18日

国家安全保障戦略(インテリジェンス)

昨日、閣議決定した国家安全保障戦略のインテリジェンス関連部分について

http://www.mod.go.jp/j/approach/

agenda/guideline/pdf/security_

strategy.pdf


「国家安全保障に関する政策判断を的確に支えるため、人的情報、公開情報、電波情報、画像情報等、多様な情報源に関する情報収集能力を抜本的に強化する。また、各種情報を融合・処理した地理空間情報の活用 も進める。さらに、高度な能力を有する情報専門家の育成を始めとする人的基盤の強化等により、情報分析・集約・共有機能を高め、政府が保有するあらゆる情報手段を活用した総合的な分析(オール・ソース・アナリシス) を推進する。加えて、外交・安全保障政策の司令塔となるNSCに資料・情報を適時に提供し、政策に適切に反映していくこと等を通じ、情報サイクルを効果的に稼働させる。こうした情報機能を支えるため、特定秘密の保護に関する法律(平成 25年法律第108号)の下、政府横断的な情報保全体制の整備等を通 じ、カウンター・インテリジェンス機能を強化する。 」


要点は、収集、分析、情報共有の強化ということですな。また、情報専門官の育成を強調しているところをみると、インテリジェンスにおける人間の認知能力の重要性をよく認識しているように見えます。ただ、過去のエントリでも示したように、情報に失敗しないためには分析官の能力の他に、政策決定者や作戦立案者のインテリジェンスに対する十分な理解と的確な情報要求が必要なんですよね。また、カスタマーがインテリジェンスの限界や優先順位を認識し、分析官に必要以上にプレッシャーをかけたり、個人的趣味のような情報を要求しないことも大事ですね。こうした点を指導者になる人材に対してしっかり教育してもらいたいと思います。


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by Imperialnavy | 2013-12-18 20:02 | その他 | Comments(0)
2013年 12月 16日

中国の大軍拡

愛読(?)している中国網の記事から最近の中国海軍の大軍拡に関する記事を紹介します。

まず、下記の記事によると中国のイージス艦が間も無く10隻になるそうです。
http://japanese.china.org.cn/test/txt/
2013-11/15/content_30611993.htm
ちなみに日本は6隻です・・

また、いつの間にやらステルス型のミサイル艇保有数が世界最多になったそうですね。
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/
2013-11/04/content_30493973.htm

さらにフリゲート艦をわずか10日間で3隻進水させてます。
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/
2013-10/09/content_30239354.htm

しかもちゃんと実弾打って訓練に励んでいます。
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/
2013-12/16/content_30909926.htm
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/
2013-10/20/content_30348386.htm

こうしてみると、質量ともに近いうちに日本を圧倒するのではないかと思ってしまいます。もはや衆寡敵せずなんでしょうか?
少なくとも、日本が色んな意味で大きく変革しなければならない状況であることは確かなようです。

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by Imperialnavy | 2013-12-16 21:40 | 戦略インテリジェンス | Comments(0)
2013年 12月 15日

中国の戦略文化(危険な孫子の教え)

エドワード・ルトワック『自滅する中国 なぜ世界帝国になれないのか』芙蓉書房出版、2013年。

109頁「そもそもこの孫子の『兵法』という素晴らしい書物が強烈な誤解を招きやすい(というか危険ですらある)」
112頁「中国の「戦国時代/兵法の心理」の「名残り」、もしくは同一文化内の規範を異文化間の紛争に誤って応用することの「弊害」として最初に目につくのは「国際関係においては無制限にプラグマティズムを使っても良い」という前提だ。」
114頁「二つ目の「名残り」の例を挙げてみよう。中国の政府高官たちによくみられるのは「外国との間の長年にわたる未解決の紛争は、故意に危機を煽ることで解決できる」という考え方だ。」
118頁「三つ目の「名残り」は、欺瞞そのものや、欺瞞よって可能になる策略と奇襲攻撃への、過剰なまでの信奉である。」

中国の戦略文化を理解する際に参考となる内容です。
上記の内容から中国の行動パターンを端的に表すと、
①無制限なプラグマティズム(実用主義)により相手国との関係を損得勘定でとらえ、深い信頼関係を築こうとしない。②故意に危機をあおることで、相手を交渉に引きずり込もうとし、強制的に譲歩させようとする。③欺瞞を行ったうえで、奇襲攻撃を行う。
更に端的に言い換えると「損得で相手を評価し、威嚇と騙しと奇襲のテクニックで相手から利益を得ようとする」ということでしょうか。まぁそう単純なものではないとは思いますが、ただこうしてみると、防空識別圏の設定は上記②と③のパターンを実行したものとも言えそうですね。さて今後も同様のパターンで新手の策を繰り出してくるのでしょうか・・・

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by Imperialnavy | 2013-12-15 19:04 | 戦略インテリジェンス | Comments(0)
2013年 12月 11日

アメリカの対外政策(スパイクマン)

ニコラス・J・スパイクマン『平和の地政学-アメリカ世界戦略の原点-』扶養書房出版、2008年。
(1944年に出版された本の全訳版)

129頁「地政学的な分析から考えると、アメリカは地理的に包囲されているように見える。(中略)この国の安全と独立を守るために必要なのは、ユーラシア大陸にある国家がヨーロッパとアジアで圧倒的かつ支配的な立場を獲得するのを不可能にするような対外政策の継続だ」

132頁「我々が戦っている目的の一つはユーラシア大陸のパワーの均衡にあり、我々が勝った後の目的も、そのような均衡状態の達成と維持にある。したがって、アメリカの国益はリムランド統一への動きを阻止する国家たちと、引き続き協力関係を維持していくことにある。」

アメリカの対外政策の「前提」を考える上で参考となる内容です。戦後の前方展開戦略そのものですね。ところで、この文書、戦争が終わる前に書かれています・・アメリカの戦略的思考の一端が少し分かる気がします。
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by Imperialnavy | 2013-12-11 18:07 | 戦略インテリジェンス | Comments(0)
2013年 12月 11日

韓国は張成沢氏側近の公開処刑をいかにして把握したのか

12月5日インターネット版東亜日報(日本語版)japanese.donga.com

「北朝鮮の張成沢(チャン・ソンテク)国防副委員長失脚の根拠として提示された2人の側近が公開処刑された情報を、当局は如何にして把握したのだろうか。北朝鮮の公式発表はなかったが、安保当局はヒューミント(人的情報)とシギント(信号情報)を有機的に組み合わせて関連情報を把握した。 」「公開処刑は労働新聞や朝鮮中央通信のような対外用メディアでは一切報じられない。北朝鮮は公開処刑を隠し、北朝鮮社会の内部には広く伝えられる方法で広報する。 (中略) この時に使われる手段が「第3放送」だ。安保省庁関係者は、「第3放送は、各家庭に有線でつなげられたスピーカーで放送される。ラジオとは違って電波を使わないため、外部からの盗聴が難しい」と述べた。第3放送は平壌(ピョンヤン)だけでなく、各都市・郡・里まで結ばれており、農漁村地域ではラジオよりも発達している。 (中略) にもかかわらず安保当局が処刑事実を把握できるのは、ヒューミントがあるためだ。安保省庁当局者は、「北朝鮮住民による平凡な人的情報だけでなく、処刑執行に関与した担当者の口から粛清の事実を聞く」と述べた。粛清の対象者が助けてほしいという手紙を様々なルートで韓国政府に送ることも頻繁に起こっているという。 特に先月末、張氏の側近である李竜河(リ・ヨンハ)行政部第1副部長と張秀吉(チャン・スギル)副部長が処刑されたことは、軍情報当局のシギントでも把握された。処刑の事実を北朝鮮軍首脳部に伝える過程で、対北朝鮮盗聴が捉えたのだ。軍はこれを北朝鮮の異常動向と判断し、国家情報院と共に関連情報を集め、北朝鮮の内部動向を時々刻々追跡してきたという。」

つまり、ヒューミントと軍のシギントによって得た公開処刑に関する情報を国家情報院と協力して関連情報と照合し、国会情報委員会で報告したということでしょうか。
ちなみに韓国軍のシギント部隊については、777司令部というものがあります。777司令部は、1956年に米軍が創設した対北情報機関を前身としたものであり、存在を秘匿するため、過去、「3275部隊」、「5679部隊」と度々、その名称を変えていましたが(すべての数字を足した一桁目が必ず7になることからスリーセブン部隊と呼ばれていた。) 、現在は、777司令部として国防情報本部令に明記されています 。国防情報本部令によれば、777司令部の業務は、「各種信号情報の収集・支援及び研究に関する事項を司る」とされています。なお、韓国軍はSIGINT収集用航空機としてRC-800をベースにしたペクトゥ(白頭)を保有しており、同機によって収集した電波情報は777司令部において処理・分析されているそうです。

※777司令部参考資料:「顔色を窺う軍首脳部に対する韓哲鏞のクーデター」『新東亜(518号)』2002年11月。「対北秘密情報 真実はこれだ 韓哲鏞前777部隊長の衝撃証言」『新東亜(519号)』2002年12月。国防情報本部令(国家法令情報センターホームページ参照)。
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by Imperialnavy | 2013-12-11 16:59 | その他 | Comments(0)
2013年 12月 06日

失敗の7要素と対処法

ロジャー・ジョージ「第8章 インテリジェンスと戦略」『戦略論 現代世界の軍事と戦争』勁草書房、2012年、262~264頁。

◆インテリジェンスの失敗の7要素
①情報収集における失敗
②分析における誤った解釈
③敵の欺瞞
④敵の情報保全
⑤情報共有の欠如
⑥政策決定者への伝達の失敗
⑦政策決定者の情報無視や怠慢

◆対処法
①情報収集の改善
②敵の欺瞞能力や欺瞞を行う動機の評価
③バイアスの自覚と分析手法の活用

いずれも過去のエントリの内容とほぼ同じです。ただ、欺瞞の問題については具体的な方法論があまりない(気休め程度ならありますが・・)ので非常に難しいと思います。ちなみにジャービスは欺瞞について「多くの場合、国家は欺まんを行う機会を差し控える。なぜなら、それらは非常に複雑であるし、あまりに多くの有効な情報を明らかにすることになりかねないからである。」(Why Intelligence Fails,2010)と述べており、そう頻繁に行われるものでもないことを示唆しています。

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by Imperialnavy | 2013-12-06 14:24 | インテリジェンスの失敗 | Comments(0)
2013年 12月 06日

リーダーとインテリジェンスのジレンマ


Michael I. Handel “Leaders and intelligence”(Intelligence and National Security Volume 3, Issue 3, 1988, pp.4-6).

◆リーダーが教条的な場合、リーダーは新しい情報や自らの目的、方針、決定に反する情報は受け付けないだろう。逆にリーダーがあまりにオープンマインドな場合、明確なリーダーシップをとれずに頻繁に意見を変えてしまうだろう。
◆リーダーとインテリジェンスの距離が近すぎるとインテリジェンスがリーダーの方針や決定を意識し過ぎて客観性を失うだろう。逆に距離が遠すぎるとリーダーはインテリジェンスとの接触を失うだろう。
◆リーダーにアドバイスするインテリジェンスが独占的な立場にあったり、たった一つの情報源しかないと、リーダーが受けとる情報は限られたものか、バイアスがかかったものになるだろう。逆に様々なインテリジェンスがありすぎると自らのバイアスにとらわれたり経験に頼ったりするだろう。
◆生情報を求め過ぎるリーダーは、細部にまでこだわるがゆえに、自らインテリジェンスオフィサーになりきるという危険を犯すだろう。
◆多くの情報を受け流してしまうリーダーは真剣に情報から学ぶ機会を持てないだろう。逆にインテリジェンスから学ぶことに重きを置きすぎ、期待しすぎると、大事な決定を遅らせることになるだろう。

つまり、信念を持ちつつ教条的にならず、インテリジェンスと遠すぎず近すぎずの関係を保ち、適度な量の情報源を持ち、生情報にこだわりすぎず、適度にインテリジェンスから学ぶリーダーがベストということなんでしょう。言うは易く行うは難しですが・・

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by Imperialnavy | 2013-12-06 00:43 | リーダーとインテリジェンス | Comments(0)
2013年 12月 04日

ニミッツ提督の情報要求

エドウィン・T・レートン『太平洋戦争暗号作戦 アメリカ太平洋艦隊情報参謀の証言 下』TBSブリタニカ、1987年。

157頁「「私はきみに南雲になってもらいたい」とニミッツは私(レイトン情報参謀)に言った。「南雲提督ならどう考え、どのような直感をもつかきみに教えてもらいたい。日本軍の立場で戦争を見つめ、作戦を見つめ、目的を考えて、彼ら、つまりきみが何を考えているか、何をしようとしているか、どんな目的、どんな動機でいかなる作戦をおこなうかを私にアドバイスするんだ。これがやれれば、この戦争に勝つために必要な情報を私は得ることができる。」」

ミッドウェー海戦におけるアメリカ海軍の情報優勢の背景には、こうしたニミッツの的確な情報要求があったのだと思います。
つまりリーダー自ら、インテリジェンスに関心を持ち、このように的確に要求事項を示せば、インテリジェンスが上手く機能するということです。

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by Imperialnavy | 2013-12-04 19:52 | リーダーとインテリジェンス | Comments(0)
2013年 12月 03日

なぜインテリジェンスは失敗するのか

Robert Jervis,Why Intelligence Fails Lessons from the Iranian Revolution and the Iraq War, (Cornell University Press, 2010).pp.2-3.

◆インテリジェンスの失敗についての最も明白な意味は、見積り(Estimate)とその後に明らかになった情報(Information)とのミスマッチである。
◆インテリジェンスの失敗を判断する点は分析官が手元の情報を上手く活用したかどうかである。
◆悪い結果は悪いプロセスによって説明される。答えが間違っていたという事実は思考の手順や方法に欠陥があったということである。
◆多くのケースでは、証拠と推論の間の薄弱な理解と安全な結論の叙述がみられる。
◆より注意を払い、訓練し、明確な推論を行えば、自動的に正解に達するというわけではないが、そうすることで、より良い分析を生み、争点のカギを明らかにする仕事の質を高め、正解につながるチャンスを増やす。

結局のところ、失敗を防ぐ万能薬は無いということであり、きちんと方法論に従って客観的に分析を行っていくしか解決策はないということです。従って、やはり大事なことはオーソライズされた分析手法による訓練ということになるのでしょう。
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by Imperialnavy | 2013-12-03 19:09 | インテリジェンスの失敗 | Comments(0)