戦略とインテリジェンス

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2013年 08月 30日

経営管理者の情報要求

P.F.ドラッカー『[新訳]現代の経営(下)』ダイヤモンド社、1996年、p.266 より引用

「意志決定についての教科書の第一戒は「事実を収集せよ」である。しかし問題を定義し分類しないことには不可能である。問題の定義と分類によって、関係のあるデータ、すなわち事実が何であるかを知る。何が間違った方向づけをするのかを知る。事実を収集するには、経営管理者は、意思決定に必要な情報が何であるかを問う必要がある。自分のもつデータがいかに関係し、いかに有効かを知る必要がある。そして、いかなる追加情報が必要かを知り、それをなんとしてでも手に入れる必要がある。」

このようにドラッカーは、リーダーが事実を要求することが必要としています。ただ、インテリジェンスの観点から言えば、正確には「事実と、その事実を分析した結果」がリーダーには必要ということだと思います。単なる生データが忙しい意思決定者に集まると、飽和してしまいますし、何よりも、意思決定者のバイアスがかかってしまいます。
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by Imperialnavy | 2013-08-30 09:12 | リーダーとインテリジェンス | Comments(0)
2013年 08月 27日

バックパッシングとバンドワゴン

ランドル・L・シュウェラー「第10章 同盟の概念」船橋洋一編著『同盟の比較研究』より引用

◯バックパッシング(ただ乗りの一形態)
脅威の矛先を他国に向けたり、脇役にとどまるという方法でバランスをとるためのコストを発生させないことで利益を得る方法。防衛的国家/同盟が侵略者からの攻撃のほとんどを引き受け、その過程で侵略者を決定的に痛めつけている間に安全に傍観するというもの。
◯バンドワゴン
強い側の同盟に加わること。防衛的バンドワゴン(弱小国が無駄な戦争のコストを避けるため大国に屈服して同盟すること。)、ジャッカル的バンドワゴン(弱い現状不満国が現状不満国のリーダーを支持することと引き換えに、変更後の分け前を得るため、当該リーダーにバンドワゴンすること。)、パイリングオン・バンドワゴン(戦いの結果が確定した後に、勝利者側にバンドワゴンして分け前にあずかること。)の三種があり、後の二つはバックパッシングの一形態

最近の韓国の親中反日姿勢を分析する際に参考になりそうです。
なお、高麗時代や李氏朝鮮時代の「事大交隣」外交は、言わば防衛的バンドワゴンを中華帝国にしていたということでしょうか。
ちなみに、韓国メディアは、日本が軍事大国となって侵略してくる可能性を毎日のように報じていますが、不思議と中国艦艇の外洋展開や軍拡といった中国の軍事的脅威についてはあまり報じていないように見受けられます。やはり「見たくないものは見えない」という心理なんでしょうかねぇ。
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by Imperialnavy | 2013-08-27 00:09 | 戦略インテリジェンス | Comments(0)
2013年 08月 25日

リアリズム その2

ジョン J ミアシャイマー『大国政治の悲劇 米中は必ず衝突する❗ 』五月書房 2007年
より引用

以下の問いに対する代表的リアリストの考え
①国家にパワーを求めさせる原因
②国家はどれだけのパワーを欲しがるのか
1 ハンスモーゲンソー(人間性リアリズム)
①国家に備わっているパワーへの欲望
②最大限得られるだけ。国家は相対的なパワーを最大化し、最終的な目標は覇権達成にある。
2 ケネスウォルツ(ディフェンシブリアリズム)
①アナーキーな国際システムの構造
②持っているもの以外は求めない。国家は既存のバランスオブパワーの維持に集中している。
3 ミアシャイマー(オフェンシブリアリズム)
①同上
②最大限えられるだけ。国家は相対的なパワーを最大化し、最終的な目標は覇権達成にある。

中国の際限の無いパワー追求の姿勢を分析する際に参考になります。
ちなみに、中国の軍拡に関する最近の報道として下記のようなものがあります。

「軍事力強化のテンポ 中国の某造船所が7隻の駆逐艦を同時建造」中国網
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2013-08/22/content_29797300.htm
「中国のH-6K爆撃機、アジアのパワーバランスに影響」中国網
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2013-08/22/content_29792060.htm

ますます、日本との相対的な軍事的パワーの差が広がっていくようです。
なお、リアリズムの理論はそれぞれの国の性質(戦略文化など)というものをあまり考慮に入れていません。
そのため、中国の性質に対する分析が必要となります。
そこで参考になるのが、最近、出版されたエドワード ルトワックの『自滅する中国』
http://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/4829505907
中国の攻撃的性質を理解するのに参考になります。
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by Imperialnavy | 2013-08-25 13:40 | 戦略インテリジェンス | Comments(0)
2013年 08月 25日

リアリズム その1

モーゲンソー『国際政治 権力と平和』福村出版、1998年、69頁
「宥和政策は(相手国の)帝国主義政策を現状維持政策と取り違えてしまうことによって誤りを犯す、堕落した妥協政策だといえよう」「宥和政策をとるものは帝国主義国が次々に出してくる要求の目的を合理的に限定されたものとみなす」「宥和政策をとるものの誤りは、帝国主義の要求が決してそれだけで独立しているわけでもなければ、また特定の不満から生まれたものでもなく、ついには現状の打破をもたらすに至る鎖の輪のひとつにすぎないということを見落としている点にある」

中国の意図を考察する際に参考になる一文です。
例えば尖閣問題。中国は日本の国有化があたかも現在の対立の発端のように主張しています。しかし、国有化以前に、1971年の突然の領有権主張、1992年の領海法制定、2008年の海監の領海侵犯といった中国政府の現状を変更しようとする一連の行為があったわけであり、こうした行為こそ対立の原因であったと言えます。今、思えばこうした一連の行為は「現状の打破をもたらすに至る鎖の輪」の一部だったのでしょう。要は何事もまずは時系列で分析して各事象の関連をよく考える必要があるということです。
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by Imperialnavy | 2013-08-25 13:21 | 戦略インテリジェンス | Comments(0)