戦略とインテリジェンス

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カテゴリ:リーダーとインテリジェンス( 4 )


2013年 12月 06日

リーダーとインテリジェンスのジレンマ


Michael I. Handel “Leaders and intelligence”(Intelligence and National Security Volume 3, Issue 3, 1988, pp.4-6).

◆リーダーが教条的な場合、リーダーは新しい情報や自らの目的、方針、決定に反する情報は受け付けないだろう。逆にリーダーがあまりにオープンマインドな場合、明確なリーダーシップをとれずに頻繁に意見を変えてしまうだろう。
◆リーダーとインテリジェンスの距離が近すぎるとインテリジェンスがリーダーの方針や決定を意識し過ぎて客観性を失うだろう。逆に距離が遠すぎるとリーダーはインテリジェンスとの接触を失うだろう。
◆リーダーにアドバイスするインテリジェンスが独占的な立場にあったり、たった一つの情報源しかないと、リーダーが受けとる情報は限られたものか、バイアスがかかったものになるだろう。逆に様々なインテリジェンスがありすぎると自らのバイアスにとらわれたり経験に頼ったりするだろう。
◆生情報を求め過ぎるリーダーは、細部にまでこだわるがゆえに、自らインテリジェンスオフィサーになりきるという危険を犯すだろう。
◆多くの情報を受け流してしまうリーダーは真剣に情報から学ぶ機会を持てないだろう。逆にインテリジェンスから学ぶことに重きを置きすぎ、期待しすぎると、大事な決定を遅らせることになるだろう。

つまり、信念を持ちつつ教条的にならず、インテリジェンスと遠すぎず近すぎずの関係を保ち、適度な量の情報源を持ち、生情報にこだわりすぎず、適度にインテリジェンスから学ぶリーダーがベストということなんでしょう。言うは易く行うは難しですが・・

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by Imperialnavy | 2013-12-06 00:43 | リーダーとインテリジェンス | Comments(0)
2013年 12月 04日

ニミッツ提督の情報要求

エドウィン・T・レートン『太平洋戦争暗号作戦 アメリカ太平洋艦隊情報参謀の証言 下』TBSブリタニカ、1987年。

157頁「「私はきみに南雲になってもらいたい」とニミッツは私(レイトン情報参謀)に言った。「南雲提督ならどう考え、どのような直感をもつかきみに教えてもらいたい。日本軍の立場で戦争を見つめ、作戦を見つめ、目的を考えて、彼ら、つまりきみが何を考えているか、何をしようとしているか、どんな目的、どんな動機でいかなる作戦をおこなうかを私にアドバイスするんだ。これがやれれば、この戦争に勝つために必要な情報を私は得ることができる。」」

ミッドウェー海戦におけるアメリカ海軍の情報優勢の背景には、こうしたニミッツの的確な情報要求があったのだと思います。
つまりリーダー自ら、インテリジェンスに関心を持ち、このように的確に要求事項を示せば、インテリジェンスが上手く機能するということです。

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by Imperialnavy | 2013-12-04 19:52 | リーダーとインテリジェンス | Comments(0)
2013年 11月 04日

19世紀における指揮官の三つのタイプ

Huw Davies“Intelligence and the Art of Command,1799‐1945”Intelligence and National Security,vol.22,No.5,Oct 2007,pp.594‐595.

「19世紀の軍指揮官は次の三つのタイプのいずれかに当てはまるといえる。
第一のタイプは、インテリジェンスの重要性を理解している指揮官であり、自らの意思決定のためにインテリジェンスの収集と分析に力を注ぐ指揮官である。
第二のタイプは、インテリジェンスが意思決定に有用であることは理解しているようではあるが、収集と分析に費やすお金と労働力のコストがインテリジェンスがもたらす利益と釣り合うかどうかは疑わしいと考える指揮官である。
第三のタイプは、インテリジェンスをすべてにおいて重要であると見なさず、インテリジェンスを利用することを考慮しない指揮官である。」

太平洋戦争時のニミッツ提督は、戦略的意思決定におけるインテリジェンスの重要性をよく理解していたといわれるので(Layton“And I was There”p.357)、このうちの第一のタイプであったといえそうです。
一方、日本海軍の指揮官はどうだったのでしょう。日本海軍は情報を軽視していたと言われますので(小谷『日本軍のインテリジェンス』119‐136頁)、どちらかというと、第二、第三のタイプが多かったのではないでしょうか。ちなみに、こうした19世紀型指揮官のタイプは、インテリジェンスに対する十分な教育がなされていない軍隊であれば、21世紀の今でも見かけることができそうです。
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by Imperialnavy | 2013-11-04 11:27 | リーダーとインテリジェンス | Comments(0)
2013年 08月 30日

経営管理者の情報要求

P.F.ドラッカー『[新訳]現代の経営(下)』ダイヤモンド社、1996年、p.266 より引用

「意志決定についての教科書の第一戒は「事実を収集せよ」である。しかし問題を定義し分類しないことには不可能である。問題の定義と分類によって、関係のあるデータ、すなわち事実が何であるかを知る。何が間違った方向づけをするのかを知る。事実を収集するには、経営管理者は、意思決定に必要な情報が何であるかを問う必要がある。自分のもつデータがいかに関係し、いかに有効かを知る必要がある。そして、いかなる追加情報が必要かを知り、それをなんとしてでも手に入れる必要がある。」

このようにドラッカーは、リーダーが事実を要求することが必要としています。ただ、インテリジェンスの観点から言えば、正確には「事実と、その事実を分析した結果」がリーダーには必要ということだと思います。単なる生データが忙しい意思決定者に集まると、飽和してしまいますし、何よりも、意思決定者のバイアスがかかってしまいます。
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by Imperialnavy | 2013-08-30 09:12 | リーダーとインテリジェンス | Comments(0)